2010/10/06

少年チャンピオンの読み切り「MCニコ」

お疲れさまです。サラマンタです。

「MCニコ」という日本語ラップの漫画が先週の少年チャンピオンの読み切りでやっていたので、感想でも。


内容はというと

田舎の若者(18歳)が日本語ラップに憧れて東京に上京。
が、しかし現実は日本語ラップなんて全然流行ってなかった!
様々な苦難を乗り越え、自分自身の言葉を獲得していく!!

という内容でした。

なんか、ライムスターの「グレートアマチュアリズム」の宇多丸氏の歌詞みたいな感じだなと思ったら、
その田舎から出てきたMCの名前が「二戸士郎」って・・・。

まじか・・・・。


ライムスター「グレートアマチュアリズム」



「ブサイク・音痴だって歌えちゃう/スッゲー敷居低い歌唱法/ちょうどオレが生きた証拠」


この漫画のいいたいことは多分、こんな感じなんだと思います。

ただね、「滑稽だけど自分の言葉で伝えることで、相手の心を響く事ができる」っていうのは分からなくはないのですが、
この漫画のラップの歌詞が全然面白くないっていうのが非常に残念でした。

漫画家さんだからしょうがないけど、
歌詞がつまんない上に韻を踏でいるから本当にダジャレになっていて
正直、光子は恥ずかしくて死にたくなりましたよ。

「これ以上、日本語ラップをいじめないで!!」と思ったり。

あと黒人音楽を語る上でありがちな「貧困を乗り越えて生まれた音楽だ!!」とかいうのも読んでいて死にたくなりました。
それを「田舎者の俺(ハンデがある)」と結びつけるのはまぁいいけど、
面白くないヤツが自分の言葉でラップしても、結局それはつまらないもんなんです。

あとこの物語上だと

「ラッパーになるために上京」→「現実を知り。挫折。」→「自分自身の言葉で歌詞を書く。」

こういう流れだとどーしても「皆に感謝。俺、頑張ってます。皆も頑張れ。」みたいなもん「感動もののラップ」しか出てこないのかなと。
そして自分は、こういうラップが一番興味がなかったりします。

そもそもヒップホップを漫画で扱う時点で、かなり厳しいかと思うのですが、
仮に自分が考えるなら「ブッタブランドに憧れてラップをやり始める主人公の漫画」だったら面白いかもなと思いました。

「 イルな言葉が出てこない。これじゃただの下ネタの羅列じゃないか!!」


みたいな。

「お前、MCネームいくつ持ってんだよ。一つにしろよ!」

とか。

あと最後に、
宇多丸氏が「グレートアマチュアリズム」でラップの事を「スッゲー敷居低い歌唱法」と歌っていますが、
これが言えるのもラップというものを長年、研究してきた人達が見つけた発見なんだと思います(特に日本語でラップするという行為)。
それを漫画でサラッと「自分の言葉で歌える」=「これがラップ(HIPHOP)」とか言ってくれると「確かにそーだけどさー。でもさぁ・・。」とか思っちゃうんですね。

確かに「誰でもできる」っていうのがヒップホップの魅力だと光子自身も思ってはいるので、
あながちこの漫画のいってる事は間違ってはないと思うけれど、
「なんだかなぁ」って腑に落ちない感じです。
「主人公がなんでラップに興味をもったのか?」があれば良かったかなと。

という事で非常に悶々とした漫画でした。

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